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小説と駄文と感想を書くつもりです。

『カロリー・メイト』について

「浸透圧のせいだ」

 当ブログに投稿する作品としては、二作目になります、こちらの『カロリー・メイト』。次に投稿するのは作品の感想か、長編小説にしてかったのですが、作れてしまったのだからしょうがない。創作はどこかで供養しないと、先に進めないので。

 

 さて、こちらの作品ですが、微BLとなっております。このジャンルに詳しいわけではないのでもしかしたら違うのかもしれませんが、そういう要素は含んでいると思われます。

 自分がBLについて創作するのは、これが初めてというわけではありません。所属中の団体や、個人的なものであれば、結構同性愛の話なんかも考えています。というか普通の恋愛の方が書けないんです……

 今回の話を書くに至った経緯ですが、これは村上春樹さんの作品『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を読んだことがすべての始まりです。読んで下さった人の中には(読者などいない)、「なんか村上春樹に憧れてる痛い文章だな」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。ええ、はい。完全にそうです。

 アルコール類の描写、小難しい語彙(まじでごめんなさい。僕の独りよがりです)、そして「やれやれ」というセリフ。完全に影響されています。普通なら痛すぎて、黒歴史になる前に封印していますが、ここにはどうせ誰も来ません。んなもんで、ここを作品の墓場として、戒めとアルバム替わりに使います。お許しを!

 さて、そんな本作ですが、もとはBLにするつもりはありませんでした。僕個人のカロ○ーメ○トへの熱い思いを、ハードボイルド風に語らせるつもりだったんです。「無味乾燥でなにが悪い」という主題にするつもりだったわけですね。しかしモノローグだけで全てを書いたら、それは僕のエッセイになってしまう。それなら対話相手を出して、ハードボイルドな会話をさせよう! となりまして、気づいたらBLになっていました。

 なぜ……? ってわけでもなくてですね、僕自身の女々しいところが、栄養機能食品を好むという嗜好につながっていることは薄々わかっていたので、こうなるのも仕方ないか、と思っていました。

 浸透圧の下りに関しては、筆を進めるうちに思いつきました。より濃い存在に希釈されないために、自分より薄い存在を食う。いわば弱肉強食的な構造を僕の趣味に見出したんです。それをそのまま書くのも面白くないので、パンチの聞いたワードを出そうとした結果、浸透圧に行きつきました。なかなか自分でも気に入っている例えです。

  一応解説をすると、「僕」と「彼」はセックス・フレンド以上、恋人未満な関係です。彼らはお互いの内面に、性行為以上の魅力を見出していますが、そこが限度でもあります。事実、「彼」の方が「僕」よりも向ける愛情が薄いです。それはもちろん「誰かの存在で成り立つ僕」より、「彼」の方が自我が強いからですね。この場合は僕の「愛情」が濃すぎるというべきか……ちなみに「僕」は多分、強い感情に流されまいとするために必死に「ハードボイルド」を演じています。わあ!現実の僕みたいだ()

 つまりこれは「僕」が自我を持たない限り、愛情の差が埋まることはなく、自我を持つためには「彼」と一緒にいてはいけない、というデッドエンド状態なわけです。毎回こんな暗い話を書いてしまうのですが、別に作中にそれを出しているわけではないから大丈夫なはず。

 

 後は工夫したところの話を少しだけ。

 まずはナッツの描写、特にピスタチオの部分ですね。ここまでの「心の殻」と重ね合わせて、内心をぶちまけるのと、心を開くことを暗示的に示しています。

 次に一人称と二人称のギャップ。攻めの方が丁寧で、受けがぶっきらぼうな方が新鮮でいいかなと。余裕と強がってる感も表現していたりします。

 最後に「僕」と「栄養機能食品」の重ね合わせ。「僕が彼のカロリー・メイト(補助)でありたい」という願いと、「彼は僕にとってのカロリー・メイト(熱量のある思い人)だ」という恋心のダブルミーニングのような感じです。

  

 さて、こんなところですかね。突発的に書いたとして話としては、ある程度まとめられたと思います。多分読書してたおかげです。

 それはそうと、いい加減長編書きます……手は付けているので頑張ります……

 それでは

「いずれにせよ、君の作品はハードボイルドとは言えないし、これもブログとは言えないな」

 やれやれ